韓国における慰安婦問題は“反日”も絡み根が深く、一筋縄では行かない。その象徴的な出来事が最近起きた。韓国で昨夏(2013年8月)出版された「帝国の慰安婦」の内容が問題視され、元慰安婦9人が今年6月にソウル東部地裁へ販売差し止めの仮処分を申請し、著者である朴裕河(パク・ユハ)・世宗大教授(57)を名誉毀損(きそん)で提訴した。訴えは元慰安婦たちの自発的意思というより、陰で支援団体が操っているというのが大方の見方だ。
学問の領域で法廷闘争
原告側が用意した報道資料によると、「帝国の慰安婦」が元慰安婦らを「売春婦、日本軍の協力者」と描写し、元慰安婦たちは「日本軍の同志であったことを認め、大衆に被害者としてのイメージだけを伝えるべきではない」と主張し、元慰安婦らの名誉を傷つけたとしている。
一方、被告側は本の内容が歪曲(わいきょく)されて受け取られているとして争う姿勢を見せている。今月(7月)9日に開かれた第1回口頭弁論に合わせて、朴氏の知人らが中心となり「『帝国の慰安婦』は研究成果の一つで、学問の領域で議論しなければならない問題であり、法廷で是々非々を争う問題ではない」とする嘆願書の署名集めも行われた。