【シンガポール=会田聡】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉で、米国が日本からの輸入車にかける関税について、日本の農産品の関税と同時期に撤廃する方向で調整していることが22日、分かった。米国は日本の重要5分野を含む農産品に対し最長20年の猶予期間を設けて関税を撤廃する案を提示。輸入車の関税撤廃を日本の農産品の市場開放と引き換えにする構えをみせることで、重要5分野の関税を維持したい日本に揺さぶりをかけている形だ。
TPP交渉は参加12カ国による閣僚会合が同日、シンガポールで開幕した。25日までの日程で、日米が関税協議で妥協点を見いだせるかが会合の成否を大きく左右する。
現在、米国は日本からの輸入乗用車に価格の2・5%、トラックは25%の関税をかけている。昨年4月の日米合意で米国はTPPでの撤廃を約束したが、日本車の輸入増を懸念する米自動車業界に配慮して「(TPP交渉の)最も長い引き下げ期間によって撤廃」と、最大限の猶予を認める条件を付けていた。