党の利権官僚によって不正蓄財される資金は、香港経由などで海外にいったん移された後、今度は「外資」を装って還流する。この非合法マネーの大半は投機的で「熱銭(ホットマネー)」と呼ばれるが、規模は半端ではない。
不正資金総額を粗っぽい中国統計から正確に算出することは不可能だが、およその見当はつけられる。厳しい外国為替管理体制を敷く中国で海外との間で合法的に出入りできる資金は、(1)貿易収支の黒字または赤字分、(2)中国からの対外投資に伴う利子・配当収入から外国企業の対中投資の利子・配当収入を差し引いた所得収支、(3)外国からの対中直接投資--である。これら合法資金の純増加額合計から外貨準備増加額を差し引いた額を非合法な資本収支としてみなしたのが下のグラフだ。
非合法資金はリーマン・ショック直後に年間2000億ドル規模で逃避したが、党指令による融資増で値上がりし始めた不動産に熱銭が還流し、不動産や金融のバブルを引き起こした。