中国の三中全会は「全面的な改革深化」を決議して終えた。今回のこの改革の狙いは、実は党幹部利権の拡大をインセンティブにして、海外に流出した不正利得を国内に再投資させて経済を持続成長させることなのである。巨額に膨れ上がった非合法資金を本土に還流させることで、中国経済は一息ついたのだ。
中国の今後のほぼ10年間の経済基本路線を討議する第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)が11月12日、「全面的な改革深化」を決議して閉幕した。中国は党幹部による不正蓄財を取り込む経済成長モデルにギアシフトした。
西側メディアは、政治改革なしの経済自由化の限界を警告したのだが、いわばないものねだりに等しい。中国経済は一党支配なしに成り立たないからだ。
李克強首相の主導で上海に「自由貿易区」が9月に設置されたが、早い話、大幅に規制が撤廃された同区の進出企業234社のうち外資は21社にすぎず、大半は国有企業。党中央が国家全体の予算と金融を支配し、地方政府と国有企業に資金を配分、党官僚が支配する地方政府や国有企業がそのカネを投資して開発や生産に関与して収益を上げるというシステムの中での自由ビジネス特区であり、主要プレーヤーは党官僚なのである。