地域を限定して規制を緩和する国家戦略特区法案が、臨時国会で成立した。国内外から人材や投資を呼び込み、経済成長につなげる安倍晋三首相肝いりの政策で、基本方針は首相が議長を務める諮問会議で定める。そこに入る民間メンバーの有力候補に浮上しているのが元総務相で慶応大学教授の竹中平蔵氏だ。
特区推進派の筆頭格だからだが、野党には大企業優先の市場主義者のレッテルを貼られ、小泉純一郎内閣での郵政民営化のしこりから与党内にも煙たがる議員がいるだけに、波紋を呼びそうだ。再び政治の表舞台でスポットライトを浴びる竹中氏は、ヒーロー(英雄)か、それともヒール(悪玉)か。
“業界人間”批判
特区には全国で3~5カ所程度が選ばれる見通し。東京や大阪など大都市が候補になるとみられる。特区のあり方に意見を出して、基本方針の中身を議論するのは経済再生担当相や総務相、規制改革担当相ら閣僚と5人の民間議員で構成する「国家戦略特別区域諮問会議」だ。メンバーになれば竹中氏は、まさに戦略特区の知恵袋のポジションに張り付く形になる。