なぜ日本は「グローバル」に弱いの イノベーションの語られ方 (3/3ページ)

2013.6.30 05:00

 そもそも、どうして、こうも「グローバル」に弱いのか。

 これは世界の全体像を把握できていないからではないか。海のすぐ向こうにローカルの連続が続いていると考えていない。グローバルという陸のみえない大海がひたすら広がると想う。ローカルがグローバルの下位にあり、ローカルに従事することは劣ったことであると思っている。

 そんなことがあるはずがない。はずがないが、そういう地図を頭の中に思い描いてしまう。すると精神的ストレスでさらに大局が見えなくなり、しかもそれを精神論で押し返そうとして悪循環に陥る。

 もちろんすべての人がこう考えているわけでもない。

 地域活性化など足元から実行していこうと活発に動いている人たちもいる。この人たちは「小さい場でいいじゃない」という開き直りではなく、小さいところから大きいところにいかないとモノにならないと知っている。

 注目すべきは、そういう人たちが「地元から出たことがない」のではなく、色々な国で生活を経験したうえでローカルから生きることを自分の役割と任じているケースが増えていることだ。今回の滞在では、このタイプの人たちとも会った。

 グローバルで息苦しくなっている人たちは、ローカルを現実として生きる人たちと話し合ってみるといい。イノベーション論議で置いてきぼりになっているコンテクストの意味もよく理解できるはずだ。

 ローカルで活躍する人たちが「日本のグローバル風景」を変えていくに違いない。

 さて、これからミラノに戻る飛行機に搭乗する。

 ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。

 安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)フェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

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