蚊が媒介する感染症「ジカ熱」が流行するブラジルで13日、国軍兵士22万人を動員するなど、蚊の駆除に取り組む全国規模の一斉行動が実施された。自らもリオデジャネイロで「ジカ・ゼロ」と書かれたシャツを着込んで民家を訪問し、排水溝に殺虫剤をまいたジルマ・バナ・ルセフ大統領(68)は「ジカ熱はリオ五輪(8月5日開会式)の障害にはならない」と強調。「不参加」もあり得るとする選手や各国の五輪委員会が相次ぐなか、こうした流れを阻止することに全力を注ぐ姿勢を示した。
「蚊との戦いに全力」
一斉行動は「連邦政府や州政府、自治体が蚊との戦いに全力を挙げていることを示す」(マルセロ・カストロ保健相)ために実施された。地元メディアによると、31人の閣僚中28人が各地で街頭に出て民家を訪問し、蚊の駆除や繁殖させない方法などを直接国民に説いて回った。また、陸海空の3軍から22万人が動員され、全国350余りの自治体で国民に一声掛けながら啓発のパンフレットを配った。兵士たちは15~18日もジカ熱対策で活動し、リオデジャネイロを中心に家々を回って殺虫剤を噴霧するという。
ルセフ大統領は13日、リオの民家訪問の現場で「一つはっきりさせておきたいことがある。それは8月に五輪がこの地で開催されるということであり、私たちの行動はそれをいっそう確実にするものだ」と記者団に語った。その上で「現在、米テキサス大や米政府機関と協力してワクチンの開発に取り組んでいるが、完成には時間がかかる。特効薬や予防薬がない以上、今は『蚊との戦い』に全力を尽くすしかない」と力説した。