中国経済の減速について百貨店各社は「あまり悲観せずに引き続き取り込みを図る」(高島屋)「足元でも売り上げは下がっていない」(三越伊勢丹ホールディングス)と強気の姿勢を崩さないが、「昨年10~12月ごろから(客足が)落ち着いている」(松屋)といった声も聞かれる。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「人民元の大幅な切り下げで円高が進めば、中国人観光客の『爆買い』は収束する」と警鐘を鳴らす。
≪観光ルート整備など地方誘客策急ぐ≫
今後の課題は大都市から地方への誘客だ。旅行客の訪問地は、東京と京阪神を結ぶ「ゴールデンルート」に偏り、首都圏を中心にホテルが不足、国内のビジネス需要を妨げる事態なども生じている。
「好調なインバウンドの効果を全国に波及させることが、『地方創生』の観点からますます重要」。石井啓一国土交通相は19日の閣議後会見でこう指摘した。
その取り組みの一つが、東京や関西を除く7地域を対象に政府が“お墨付き”を与える「広域観光周遊ルート」の整備だ。四国地方を中心とした「スピリチュアルな島」ルートでは、お遍路体験などを盛り込んだ滞在型ツアーを企画する。