石井啓一国土交通相は19日、2015年に日本を訪れた外国人旅行者が推計1973万7400人に達し、消費額が3兆4771億円になったと発表した。人数、消費額ともに過去最高だった14年(1341万人、2兆278億円)を大幅に上回った。国・地域別旅行者数のトップは中国で、14年のほぼ2倍の499万3800人。一方、海外旅行で出国した日本人は円安傾向を背景に1621万人にとどまり、大阪万博が開かれた1970年以来45年ぶりに訪日客数を下回った。
訪日客数の増加は、円安傾向による訪日旅行の割安感などが理由。ただ中国では、15年の実質国内総生産(GDP)成長率が25年ぶりの低水準となり、今後の景気減速が懸念材料となりそうだ。
石井氏は記者会見で、東京五輪・パラリンピックが開催される20年までの目標としてきた訪日客年間2000万人について16年の達成に期待感を表明したが「中国経済の先行き不透明感などから、急激な増加が続くとは考えにくい」との認識も示した。政府は3月末までに、訪日客数の新たな数値目標や受け入れの具体策を打ち出す。