格差是正のための所得再分配制度など「夢実現」への具体策を示すことが急務だが、民主的議論はインターネットや報道の統制で制限されている。政治改革を訴える知識人や人権活動家ら少なくとも1000人以上が「党の支配を脅かす」(党関係者)として拘束された。
習氏を礼賛していた党機関紙元幹部の男性(47)を訪ねると、指導部の方針と異なる主張をしたためポストを失い、当局の監視対象となっていた。男性は3歳の息子の写真を見つめ「この閉塞感は異常。近く社会を揺るがす変化が起きるかもしれない」とつぶやいた。
12年に中国全土で吹き荒れた反日デモの興奮が覚めない中で誕生した習指導部は対外強硬路線を堅持。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での領海侵犯、東シナ海上空での防空識別圏設定、南シナ海の岩礁埋め立てなど中国主導の新たな国際秩序構築に意欲を示し、矢継ぎ早に拡張政策を打ち出した。
その結果、日本など近隣国に「中国脅威論」が高まり、中国をにらんだオバマ米政権のアジア重視戦略を勢いづかせた。
「外交面での成果はゼロ」。国内メディア記者(31)は言い切った。(共同/SANKEI EXPRESS)