中国の習近平(しゅう・きんぺい)指導部が発足してから11月で3年となる。習氏は反腐敗闘争や思想統制で権力基盤を強化したものの、経済安定成長を目指す構造改革は停滞気味だ。
26日から始まる第18期中央委員会第5回総会(5中総会)では2020年までの国の全体構想を描くが、経済の減速傾向が明確になる中、習氏がスローガンに掲げる「中国の夢」の実現には暗雲が漂う。
「最大の成果は反腐敗だ」。習指導部の評価について、国内の知識人や政府関係者はこう口をそろえる。
習国家主席は、反腐敗闘争で元最高幹部、周永康(しゅう・えいこう)氏(72)=収賄罪などで無期懲役=ら政敵を排除し政権基盤を固めると同時に、自身に近い人物を起用することで人事を主導。大衆の厚い支持も獲得した。
ただ追及を恐れた官僚が職務を放棄したり、100人以上が自殺といった「正常でない状況」で死亡したりするなど後味の悪さも残る。闘争が経済的利益につながらないことから、庶民の関心は薄れつつある。
中国の実質国内総生産(GDP)成長率は6年半ぶりに7%を割り込み、共産党独裁体制の正当性や強気な外交を支えてきた経済成長に黄色信号がともる。