【国際情勢分析】
9月末から10月初めにかけて、中国の遼寧省、浙江省、北京市などの各地で、4人の日本人がスパイ活動を行ったとして、中国当局に拘束されたことが次々と判明した。「日本の情報機関である公安調査庁から情報収集の依頼を受けた」などと供述したとの報道もあるが、4人はいずれも素人の民間人で、本当に中国でスパイ活動を行ったかどうかについて、疑問視する国内外の専門家が多い。今回の日本人拘束は反日色を強める習近平政権による外国人排除、日本たたきのための新しい外交カードの可能性もある。
前例なく冤罪の声も
9月末、一部の日本メディアが「2人の日本人がスパイ容疑のため中国で拘束された」と報じたことを受け、中国外務省報道官はすぐに定例記者会見でその内容を認め、「2人に対する逮捕手続きが完了した」と発表した。
その後、産経新聞の取材で、逮捕されたのは神奈川県大和市のNGO関係者の男性(55)と、愛知県稲沢市の男性会社員(51)だったことが判明した。2人はいずれも5月に拘束されていたが、翌6月には、札幌在住の団体役員の男性(60代)が北京で、東京在住の日本語学校経営者の女性(50代)が上海で、それぞれ中国の国家安全警察に拘束されたことも明らかになった。