中国外務省の洪磊(こう・らい)報道官は30日の定例記者会見で、中国国内でスパイ活動を行った疑いがあるとして、日本人2人を逮捕したことを明らかにした。菅義偉(すが・よしひで)官房長官も同日午後の記者会見で、民間人の邦人2人が今年5月から中国当局に拘束されていると明らかにした上で、「邦人保護の観点から在外公館を通じて適切に支援を行っている」と説明した。
もう1人拘束か
日本政府関係者によると2人とも男性で、1人は神奈川県在住の54歳。もう1人は愛知県在住の50歳。日中関係者によると、このほかにも北京で6月、別の日本人1人がスパイ容疑で拘束されたという。いずれもスパイ罪で起訴される可能性があり、日中間の新たな火種となる可能性もある。
中国側が発表した逮捕者2人のうち、1人は遼寧省の中朝国境付近で、もう1人は浙江省の軍事施設の近くで拘束されたとみられる。
洪磊報道官は、「日本側にはすでに状況を通知した。法に基づき、調査し、処理する」と述べ、詳細については言及を避けた。
邦人が中国でスパイ容疑に問われた事例としては1996年、国家機密を不法に入手したとして男性が北京市内で逮捕され、2003年まで北京の刑務所で服役した例がある。