「一切存じ上げない。私の名前がついているものの…」
東京地検特捜部が捜査している日本歯科医師連盟(日歯連)の政治資金規正法違反事件。産経新聞の質問に参院議員はこう返してきた。日歯連をめぐっては、約10年前にも規正法違反事件が発覚した。当時も司法記者クラブに在籍し、同じクラブに戻って、今回の事件に接して、日歯連の変わらぬ体質はさておき、政治家の当事者意識の欠如を感じずにはいられない。
問題となっている事件の構図のひとつは迂回(うかい)献金だ。2013年、実際には日歯連が組織内候補として擁立した石井みどり参院議員(66)=自民=の関連団体「石井みどり中央後援会」に9500万円を献金したのに、うち5000万円を西村正美参院議員(51)=民主=の「西村まさみ中央後援会」を経由したように見せかけ、虚偽の政治資金収支報告書を提出したというものだ。
規正法は政治団体間の献金上限額を年間5000万円と規定。迂回献金はこれを免れるためだとみられ、すでに日歯連の元会長ら3人が規正法違反容疑で逮捕された。また、特捜部は公職選挙法違反も視野に捜査しており、公選法は議員の出納責任者を連座制の対象としていることから、買収などの選挙違反で罰金刑以上が確定すれば、議員は失職する可能性をはらむ。