環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は5日に終わった閣僚会合で大筋合意に達したが、今後は米議会での批准という難所が待ち構えている。米議会のキーマンや2016年の大統領選の有力候補からはTPPへの批判が持ち上がっており、これから米国内でTPP支持のムードが広がるかどうかは不透明だ。世論の動向次第では米議会がTPPの批准に消極的となり、日米など12カ国が成し遂げた大筋合意が水泡に帰する恐れもある。オバマ政権は国民と議会を説得するという責務を国際社会に対して背負っているといえる。
6年越しのレガシー作り
「米国の価値観を反映した合意だ」。バラク・オバマ大統領(54)は5日の声明で大筋合意の内容に自信を示した。
オバマ氏にとってTPPは、アジア太平洋地域での貿易や投資を活性化させることで、この地域の経済成長を米国経済の発展につなげる経済政策の一環。そのうえ自由貿易を軸とした各国との連携を深めることで、米国とは異なる価値観で国際社会での存在感を増してきた中国を抑えこもうという外交上の狙いもある。就任1年目の09年秋にTPPへの参加を表明し、約6年もの時間をかけて大筋合意にたどり着き、新たな政治的遺産(レガシー)作りに一歩近づいたかたちだ。