アップルがこうした制度を打ち出した背景には、足下の急成長をなんとかして維持したいという思惑がある。
アップルは昨年9月の「アイフォーン6」と「6プラス」の投入以降、売上高が急増。投入から半年以上が過ぎた15年4~6月期でも売上高は前年同期比33%を記録している。しかし新機種の目新しさだけでは、これだけの高成長の維持を期待することは難しいとの見方も強い。また中国経済の混乱が明らかになるなか、中国市場を成長の牽引(けんいん)役としてきたアップルへの不安も膨らんでいる。
今回の新販売制度は売上高の3分の2を占めるまで存在感を増しているアイフォーンへの「カンフル剤」だ。市場縮小が続くタブレット型端末「iPad(アイパッド)」の収益力が弱まり、腕時計型端末「アップルウオッチ」の販売拡大も十分に見通せないなか、当面はアイフォーンの成長力に期待をかけざるをえないのが現状だともいえそうだ。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)