ただし下院本会議での投票では、自由貿易協定が雇用の海外流出につながるとの見方が強い民主党の大半が反対することは確実。多数派の共和党は賛成に回るが、オバマ政権に交渉権限を一任することに慎重な一部議員は反対するとみられ、「TPA法成立には超党派の支持が必要」(ベイナー下院議長)とされる。
この日の下院歳入委での採決で、民主党からの賛成がわずか2議員にとどまったことは不安材料といえ、今後の審議には曲折も予想される。(ワシントン 小雲規生/SANKEI EXPRESS)
≪知財分野で妥協点探る 首席交渉官会合開始≫
米ワシントン近郊で23日に始まったTPP交渉の首席交渉官会合は、日米と新興国の対立で難航する知的財産分野などで妥協点を探る。26日まで4日間の日程で、5月下旬にも開催が見込まれる参加12カ国の閣僚会合に向けた道筋をつけるのが狙いだ。甘利明(あまり・あきら)TPP担当相(65)は24日の記者会見で、今回の首席交渉官会合について「非常に重要な会議だ」と強調。TPP交渉の現状に関しては、日米などの2国間が中心の関税協議に比べ、12カ国全体で話し合う知的財産や国有企業改革などルール分野の交渉が遅れていると指摘。「ルール分野が足を引っ張ることになってはならない」と述べ、進展に期待を示した。