全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章(ばんざい・あきら)会長(69)は9日の理事会で、任期途中で辞任する意向を表明した。東京都内で開いた記者会見では「農協法改正案の閣議決定を一つの区切りとしたい」と述べ、辞任時期は8月になるとの見通しを示した。
政府の農協改革で、JA全中は大幅な権限縮小を伴う改革案を受け入れた。JAグループ内では、事実上の引責辞任との見方も出ている。後任は地域農協の組合長らが投票する選挙を実施し、8月に決まる見通し。
事務方トップである冨士重夫専務理事(61)も、健康上の理由で5月に退任すると表明した。JA全中は会長と専務理事の2人が任期中に退任し体制が刷新されることとなった。
万歳氏は記者会見で、引責との見方を否定した上で「前向きな中で新会長に託すということだ。組合員のための新しい中央会の在り方を新会長の下でつくってもらいたい」と期待を示した。また、「(改革の)方向付けをやってきた皆さんはたくさんいるので、混乱はしない」と述べ、辞任による混乱は起きないと強調した。