しかし、彼らに限らず、こうしたノスタルジックな世界観が見直されるのは、聴き手を“あおる”だけの過剰なダンスミュージック、あるいは商業目的の軽薄なポップスへの反動なのではないかと筆者は推測する。これはメロディーの復権なのだ。
アルバムを通して貫かれる統一感とメイヤー・ホーソーンの爽やかにしてソウルフルな歌声が、その勢いをきっと加速するころだろう。『Tuxedo』は名盤の予感に満ちている。そして、まっとうな音楽ビジネスが健全であることをも証明しているのではないだろうか。(クリエイティブ・ディレクター/DJ 沖野修也/SANKEI EXPRESS)