会場を埋め尽くしたおよそすべての観客が立ち上がり、ダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」の曲に合わせ、即興のダンスを始めた。みんな弾けるような笑顔で体を揺らせている。舞台上でリードを取るのは、日本を代表するストリートダンスカンパニー「WRECKING CREW ORCHESTRA(レッキンクルーオーケストラ)」のメンバーらだ。
これは2月7日、マレーシアの首都、クアラルンプールで行われた日本のストリートダンス公演のフィナーレの様子だ。レッキンの他に、ユニクロのCMでカンヌ国際広告祭大賞など各種広告賞を総なめにした黄帝心仙人(こうていせんにん)率いるロボットダンスチーム「タイムマシーン」、男子新体操とダンスを融合させ新たなパフォーマンスを創造する「BLUE TOKYO」(ブルートーキョー)の2組が出演した。
公演は、アジアにおける国際交流を推進する「国際交流基金アジアセンター」(東京都新宿区)がストリートダンスをテーマにした文化交流プロジェクトとして実施。「ダンス・ダンス・アジア」と名付けられ、ストリートダンスの舞台作品のプロデュースを数多く手がける「パルコ」の協力で実現した。公的機関が支援に乗り出し、ストリートダンスを日本文化として紹介するのは初めての試みといえる。プロジェクトは東京五輪が行われる2020年まで続く。