【大人の時間】
≪ビートルズらの「足跡」≫
アメリカには音楽の「聖地」がたくさんある。「黒人霊歌」として南部で生まれたブルースが発展したイリノイ州シカゴ。ワシントン州シアトルは、かつてビートルズが宿泊したホテルがあり、ジミ・ヘンドリックスにカート・コバーンという早世した伝説のミュージシャンの出身地。ミネソタ州ミネアポリスは昨秋、新作を出したプリンスの故郷だ。そんな音楽ファン憧れの「聖地」を訪ねた。
「ブルースって黒人のつらく悲しい歌というイメージがあるのだろうけど、カントリーやロック、ジャズなどさまざまな要素が入って進化している。恋の歌もたくさんあるんだよ」。シカゴ・ブルース界の重鎮、エディ・クリアウオーターさん(80)は郊外の自宅で話しながら、ギターを取り出し弾き語りしてくれた。力強いながらもノリがいい。思わず踊り出してしまう。
エディさんはグラミー賞ノミネート経験もあるベテランで、1950年代から活躍。母方の祖母がネーティブアメリカンであることで、ステージでは常にインディアン風のヘッドドレスを着用。いつしか「ザ・チーフ」と呼ばれるようになった。