「進化していくもの」
米国南部で奴隷として働いていたアフリカ系アメリカ人(黒人)の、抑圧された魂の叫びが音楽となったブルース。シカゴへは第二次大戦の前後に多くの黒人が移住、その中の一人マディ・ウォーターズが、エレキギターを使ったバンド形式のシカゴ・ブルースを確立させた。
市中心部の老舗クラブ「キングストン・マインズ」でライブを行うマイク・ウィーラーさん(53)は同世代のマイケル・ジャクソンが大好き。「ブルースはトレンドを入れて進化していくもの」と話す。ギターをかき鳴らし熱唱する姿はロックに近い。
シカゴ・ブルースの悩みは若い世代が育っていないこと。エレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)などが好きな若者層にとって、ブルースは日本で言う演歌や民謡のような存在に近い。若手発掘や育成の試みも進んでいるが、広い支持を得るには至っていない。