米ミシガン湖畔の大都市シカゴから車で3時間、人口3500人ほどの小さい街ガリーナが近年、急速に注目度を上げている。ミシシッピ川の支流、ガリーナ川沿いに広がる街には、19世紀の街並みが残る。
「America’s Best Small Town(米国で一番すてきな小さい街)」とのキャッチフレーズを持ち、昨年1年間で国内外から100万人以上が訪れた。紅葉の美しさでも知られる。
ガリーナの地名は鉛の一種に由来する。19世紀にフランス人が入植し、その採掘と交易の中心地として栄えた。最盛期には1万4000人の人口があったが、需要の停滞とともに過疎化が進む。危機感を持った街は、1980年代に観光を主な産業としようとかじを切った。
まずはこの街に住んでいた米国の第18代大統領、「50ドル札の顔」でもあるユリシーズ・グラントの家を博物館に改装した。続いて19世紀当時から残る建物を保存。中心部では建造物の新築を原則として許可しない方針をとった。
2010年には、街の将来像を考える「2020年ビジョン」検討会が発足、ウェブサイトなどを活用した観光客の誘致活動を強化した。リーマン・ショック後の不景気からも回復、現在はアジアからも観光客が増えている。2016年にはアムトラックの停車駅となる見通しで、駅舎の整備が進んでいる。