シアトル郊外のカジノ・リゾート「チュラリップ」に入ると、天井まで届く背の高い複数のトーテムポールに圧倒される。もとは北米の先住民が建てた柱状の木の彫刻。施設内は、ネーティブアメリカンの文化を伝える資料や絵画、置物であふれている。
「チュラリップ」とは、シアトル周辺に住む先住民族の集合体の名前。2008年にオープンした施設はホテルに結婚式場、室内プール、エステサロン、ビジネス用の会議室も備えた総合リゾートだ。経営母体は先住民で、スタッフも先住民を多く雇用する。居留地に住む先住民が、保護政策のなかで得た権利で運営するカジノの一つでもある。
「ラスベガスまで行かなくてもカジノが楽しめる。家族でくつろげる雰囲気を目指しており、最近はアジア系のお客さまも増えてきました」と、広報担当のアンドリュー・スネイブリーさんは話す。「食事やサービスのレベルは高い」(在留邦人)と地元でも評判だ。
シアトルのあるワシントン州はノースウェストコーストと呼ばれる先住民族の文化圏に入る。先住民が北米大陸に来たのは1万年以上も前とされ、ワシントン州の地名や地域には、先住民がつけた名称が残る。