引退後アイスショーに出て、人前で滑ることの楽しさは感じた。さまざまな仕事の中で一番自分が素直にできる。でも「プロ」スケーターという肩書としてではなく、アメリカに行くまでの少しの間楽しもうという感じで、「フィギュア」スケーターという肩書の方がしっくりきている。僕はアメリカに行ってからが自分の本当の変化、とにかくまずは修行に行かなければ変われないと思っているから、今は自分の気持ちに素直に動き、肩書は重要ではないと感じている。イメージしている将来像は全くないし、もちろん不安はあるけれど、自分が変わりたい、という思いは強く、今は「自分が変化すること」に期待が大きい。これまで選手として注いできたのと同じくらいのエネルギーをもって、真の意味でやりがいを感じて誠実に臨めるものを見つけたい。
「負けを知る」こと
20年の競技生活はアッという間で、特に選手としての明確な意識を持ちだした後半の10年は、自分の想像をはるかに超えた10年だった。この年月の全てが今の自分を作ってくれた財産で、競技をしていなかったら、東京に行くことすらなくて、性格はもっと暗くて下を向いていたかもしれない(笑)。