口の中に広がる「二重奏」
向付(むこうづけ)は「鯛の昆布締めスダチ挟み」。兵庫県明石産の鯛を一口サイズに5層に重ね、その間に輪切りにしたスダチを挟み込んでいる。もっちりとした鯛の身とスダチを一緒に口に含むと、スダチの酸味がさっぱりとした後味。
肉料理は2品が柚子の実をくりぬいた器に盛られて登場する。その一つはワケギを芯にしゃぶしゃぶ風の牛肉を巻きミツバで結んだユニークなメニュー。軟らかい牛肉とワケギのシャキシャキ感が食感の“二重奏”を楽しませてくれる。もう一品は「牛肉の鍬焼き」。サイコロ状の宮崎産牛に片栗粉をつけて焼き、日本酒としょうゆとみりんで味をつけた和にこだわった濃い味付けの肉料理だ。
煮物椀は「甘鯛のカブラ蒸し」。京野菜の聖護院カブラをすりおろし、卵黄やユリ根を混ぜてグジ(若狭湾の甘鯛)とともに蒸し上げた。梅の形にしたニンジンやシイタケ、キクナがあしらいとして添えられ味を引き立てる。ワサビのピリリとした刺激もアクセントとして心地よい。