【青信号で今週も】
秋に街を彩る黄金色のイチョウ。その実が銀杏(ぎんなん)です。土に埋めて果肉を腐らせて種だけ取り出す方法を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。私も、曽祖母がバケツから庭に強烈なにおいのベージュの実を埋めていたことを思い出します。現在では厚手のポリ袋に入れて踏みつぶして果肉を外し、種子を取り出しているようです。果肉には、かぶれる成分が含まれるため手袋が必須です。
種子は雌の木になります。裸子植物であるイチョウの独特の受精方法と種子のでき方は、生物の授業で学びます。平瀬作五郎先生(東京大学)が、大正時代に種子植物なのに精子があることを世界で初めて発見しました。彼はもともと画家で、植物学の助手をしているうちに大発見をしたとのことです。ソテツの精子を発見した池野成一郎博士の協力によるもので、博士の発見とともに日本の植物学の輝ける業績となっています。今でもこのイチョウの株は、東京大学小石川植物園に残っています。