【青信号で今週も】
前回リンゴの皮や樹皮に含まれるフロリジンから、SGLT2阻害薬という糖尿病の薬剤が日本で開発されたことをお伝えいたしました。日本の土壌菌からさまざまな抗生物質や抗がん剤、免疫抑制剤が開発されました。自然のものから薬剤を発見して作りだすというのは、自然と生きる日本人らしい長所です。
「昔よりすぐれた薬剤が使えるようになったのだから、栄養管理や運動なんかしなくてもいいのでは?」。あるいは「具合が悪くなったら薬を飲めばいいんじゃない?」と私たちは思いたくなります。おいしいものを制限したり、体を動かしたりすることに比べたら、小さな錠剤を飲む方がずっと楽に思えます。実際、栄養指導を始めた患者さんが「薬だけでいい」とおっしゃられたり、来院されなくなってしまったことがあります。そんな時には、患者さんにお会いできなくなってしまうぐらいなら、薬だけ処方していた方がよかったかもしれないという考えも頭をよぎります。