そんな時、支援先の貯蓄・融資グループを訪れた。15人ほどの有志メンバーが参加するこのグループは週に一度集まり、各メンバーが少額を出し合いグループとして貯蓄をしている。子供の教育費など、条件つきの目的のために必要額を借り入れることができ、利子分を含めてグループに返済する。家族が病気の時や亡くなったときなどは、グループの貯蓄から一定額が支給され、返済の必要はない。貧しさのため、一般の金融機関を利用することが難しいメンバーにとって、低利子で借りられるこの仕組みは大きな助けになっているようだった。
グループへのインタビューで他のメンバーが積極的に話す中、ずっと黙っていた1人の女性が気になった。インタビューを終えて解散しようとしたその時、「一言いいですか」と、その女性が立ち上がった。
他のメンバーやスタッフも少し驚いた表情で見つめる中、彼女は緊張した面持ちで、静かに話し始めた。「私は、ワールド・ビジョンに感謝を伝えたい。私の夫は3年前から病気で働けず、収入のない日々が続きました。お金を借りられる家族も友人もおらず、本当に苦しかった。でも、私たちが人生で一番の暗闇にいたときに、ワールド・ビジョンが来てくれました。このグループの活動を始めて、一緒に支え合える友だちもできました。本当にありがとう」