グルーブ感のあるエネルギッシュなロックバンド。パワフルなライブは観客の空気感を読み取りながら、ほどよく挑発して盛り上げる。そのユニークなバンド名も手伝って、THE ORAL CIGARETTESは初めて音源を聴いた時から印象深いバンドである。
キャッチーなメロディーを持つ一方で、時折顔をのぞかせるひねったメロディーや展開を持つ楽曲も個性的だ。以前メジャーデビューシングルを聴いて、インディーズ時代の楽曲に比べてキャッチーさが増し、ギターのフレーズも強力に耳に残り、より幅広くリスナーをひきつける曲になったと感じた。そのタイミングで話をした時、ボーカルでソングライターの山中拓也は「これからのメジャーシーンの中で戦うにあたって、曲の書き方や意識を自分の中で咀嚼(そしゃく)している最中だ」と言っていた。
好きなフィーリングだけを頼りに曲を作ろうとすると、マニアックで共感性に欠ける可能性があることをソングライターの悩みとして耳にする。そうかといって自分が納得いかない曲を作ってもどこかエネルギーを欠いたものになり、活動を続ける上でのストレスにもなる。