1995年の名古屋開催以来の大型回顧展「赤瀬川原平の芸術原論」は、63年のハイレッド・センター結成から現在までの活動の流れが一挙に見渡せる内容だ。展示は約550点。
千葉市美術館の水沼啓和主任学芸員によると、世界的には1960年代の日本の前衛芸術が、また日本では68年ごろの全共闘時代の文化が、いま注目を浴びているという。
時代の特徴として、メーンカルチャーとサブカルチャーとの行き来が盛んで、中核にいた象徴の一人が赤瀬川氏。再びメーンとサブの融合が盛んな時代を迎えて小沢剛、村上隆、中ザワヒデキらの「スモール・ビレッジ・センター」など、現代アートに底流でつながっている。
ただ、美術から漫画、文学、写真、映画と次々ジャンルを変えては評価されてきた経歴について水沼主任学芸員は、「自分の分野に他の分野から何かを取り込むのでなく、別な分野に移り住んでしまう赤瀬川さんのような存在は珍しい。50年間で何度も脚光を浴び続けたのは、何度も分野を変えたことにも関係しているかもしれない」と話した。(原圭介/SANKEI EXPRESS)