国民福祉基金による支援が検討されているのは、国営の石油最大手「ロスネフチ」と独立系天然ガス企業「ノバテク」。前者はプーチン氏の最側近であるイーゴリ・セチン氏(54)が社長、後者はプーチン氏の旧友、ゲンナジー・ティムチェンコ氏(61)が共同保有者だ。両社は対露制裁で欧米市場での資金調達を厳しく制限されるなどしている。
ロスネフチは今年10~12月期に94億ドル(約1兆200億円)、来年1~3月期に118億ドル(約1兆2800億円)の償還期限を迎えるなど資金繰りが厳しく、政府に400億ドル(約4兆3400億円)の支援を要請した。既存の主要油田が生産減退期に入っており、外資と組んで北極海大陸棚などの新規開発を急いでいた矢先だった。制裁では、技術供与も制限されており、生産が先細りになる可能性が出ている。
ノバテクも、北極圏のヤマル半島で進める液化天然ガス(LNG)事業に支障が出るとし、最大39億ドル(約4200億円)の支援を政府に求めている。