ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)は8月29日未明、政府軍と親露派武装勢力の戦闘が続くウクライナ東部情勢についてビデオ声明を発表した。プーチン氏は、親露派が大きな戦果を挙げたのは明白だとし、包囲している政権側部隊の退去を認めるよう親露派に求めた。また、ウクライナ政府が軍事行動を停止し、「東部の代表者」との交渉につくよう要求した。親露派が形勢を逆転して優勢に立ったと強調し、停戦に向けたウクライナ政府との協議を有利に運ぶ狙いがあると考えられる。
主要都市部に囲い込まれていた親露派は28日、アゾフ海に面するノボアゾフスクを新たに掌握するなど、ここにきて戦線を拡大している。海上からの物資輸送を可能にするため、親露派は沿岸主要都市に照準を合わせている可能性がある。
プーチン氏は、ウクライナ東部について帝政時代の「新ロシア」という呼称を使用し、親露派武装勢力は「義勇軍」と称した。親露派勢力の幹部はプーチン氏の呼びかけに応じ、各地で包囲下にある政権側部隊が武器・弾薬を放棄するならば、撤退のための「人道回廊」を設けると述べた。