種田さんがアニメーションに参加したのは押井守(おしい・まもる)監督の「イノセンス」(2002年)に引き続き2作目だが、今回が自身初の美術監督作品となった。
実写映画における美術の役割は、実際に画面に映るものを作ったり用意したりすることだ。例えば、草原を馬が走るシーンを撮る場合は適切な場所を選びさえすれば、その後美術のすべき仕事はない。しかし、アニメーションにおける美術は背景全体を意図する必要があるという。さらに「ジブリは絵として描かなければならないので、結局ワンカットも手が抜けない」と話す。
≪映画の世界を引きずり出して≫
実写であれば抜きどころがわかり、メリハリをつけることができる。それで大体はうまく乗り切れるが「マーニー」では計1145カットと膨大な数に及んだため、強弱をつけることなく全カットに集中したという。「自分の気持ちをコントロールするのが大変でした」