一人でも多くの人々に大好きな落語の魅力を伝えようと、人気落語家の林家たい平(はやしや・たいへい、49)は数年前、古典落語の演目「芝浜」を現代風にアレンジした歌「芝浜ゆらゆら」をリリースした。落語だけで勝負しても面白さが世間に浸透しきれない-とすれば、歌の力を借りてでも浸透させていこうという魂胆だ。「『この歌はいい歌だねえ。歌手は林家たい平? 誰? 落語家? 落語って何? では林家たい平の話でも聞きに行ってみようよ』。こうなればしめたものですよね」
今回、たい平が企画、主演、落語監修を務めた時代劇映画「もういちど」(板屋宏幸監督兼脚本)もそんな考えの延長線上にある。「僕が持てるすべてを駆使して、皆さんに落語と素晴らしい出会いをしてもらう。そんなきっかけ作りをずっとしていきたい。僕自身は大学3年生のとき、偶然ラジオから流れてきた落語に出会いました。それ以来、何度も『落語がこんなにも人生を豊かにしてくれるなんて』と思えたんですよ」。作風も落語入門といった趣で、主人公が落語を分かりやすく解説する場面が多々あり、トリビアも満載の仕上がりに、落語ファンならずとも思わず身を乗り出してしまうに違いない。