アッパーナイル州は国の財源となる石油の産地であるため、南スーダン独立後も、スーダン政府(北)と国境線をめぐって衝突を繰り返している地域。昨年(2013年)12月の衝突以降、南スーダン政府軍と反政府軍との間で産油地の争奪戦が繰り広げられ、最も激しい地域となっている。
6月に来日したトビー・ランザー国連南スーダン派遣団国連事務総長副代表はこう言う。「日本人が日本人としてワールドカップで自国チームを応援し熱くなるといったごく当たり前のことを、この若い国の国民は、まだ体験できていません。そのような大会に参加するチームを育成する環境がなく、大会に出場することもできず、自国チームを応援するチャンスさえない状態なのです」
長期にわたる内戦で受けた心の傷は、国民国家としてのアイデンティティーが創出され、和平への願いと将来への希望のために結束していく過程で、整理されていく必要があった。南スーダンはその道のりを歩み始めたばかりだったが、昨年以降の政治闘争が、癒えつつあった心の傷を呼び覚まし、再び人々を戦闘へと駆り立ててしまった。