内戦が続く中央アフリカでは紛争に巻き込まれた子供たちが死傷し、栄養失調に陥って座ることもできなくなるなど、悲惨な状況に置かれている。日本ユニセフ協会大使を務める歌手のアグネス・チャンさん(58)は4月に中央アフリカを訪れ、暴力と恐怖におののく国民の暮らしを視察し子供たちを勇気づけた。アグネスさんは「被害にあった子供たちは心に傷を負って生きている。理不尽で残酷な仕打ちを受けることは、復讐の種をまいていることに他ならない。あまり報道されることのないこうした実情を知ってほしい」と切実に訴える。
中央アフリカは1960年の独立以来、クーデターや動乱が絶えず国家としての体をなしていない「幽霊国家」などと称される。一昨年(2012年)12月にイスラム教系の反政府武装勢力、「セレカ」が各都市を占拠し昨年(2013年)3月には首都バンギを制圧して恐怖政治を行うようになると、これに対し、キリスト教系の武装勢力、「アンチ・バラカ」が反撃。宗教対立の形で始まった紛争は国内各地で激化し、子供たちを巻き込んで残忍な殺傷が繰り返されている。