安保理は今年2月以降、ウクライナ危機をめぐって20回前後の会合を重ねたが、欧米とロシアが非難の応酬を続け、手詰まりが続いていた。
国民、永住者ら計30人以上を失った非常任理事国オーストラリアが最初の決議案を配布した(7月)19日。事故現場を支配する親露派組織が調査を妨げ、犠牲者の遺品をあさるなどの行為が報じられた。
特定の事件に限って演説することはめったにないロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)が21日、異例の演説で「悲劇の現場で国際専門家の安全を保証するため、全力を挙げる必要がある」と表明。親露派を後押しするロシアも、調査を推進する姿勢を見せざるを得ない状況と判断したとみられる。
調査の主導権
ロシアは安保理決議案交渉で「公平な調査」を主張、対立するウクライナに調査を主導させないことに最後までこだわった。当初案では、調査はウクライナ当局主導で国際民間航空機関(ICAO)が支援するとしていたが、最終的にウクライナとICAOが「調整の上、連携する」との文言に落ち着いた。