転換点
「まったく中国の動きが見えない」。09年に内戦が終結、復興が進むスリランカの国際支援会合について外交筋は語る。招待状を中国の関係者に何度も送ったが、返事がないという。人権抑圧が懸念されるスリランカのマヒンダ・ラジャパクサ大統領(68)の地元に中国の国営銀行などが大量の資金を投下している。
似た光景は世界中で見られる。世銀や経済協力開発機構(OECD)は人権、汚職、環境などで条件を付ける融資・支援基準を定めているが、そうした枠外で中国はアフリカやアジアの国に融資や保証をしている。世銀幹部は「中国が国際金融のルールを崩している」と述べ、新開発銀行がこの動きを加速させるとみる。
5カ国は国際収支悪化時に資金を融通し合う協定も結ぶ見通しだ。ロシアは新しい枠組みに消極的だったが、ウクライナ危機で米国などの制裁を受けて以降「積極的になった」(国際金融筋)。中露以外のインド、ブラジル、南アフリカは国内で資金需要を賄えない経常赤字国で、新開発銀行による実利もある。(共同/SANKEI EXPRESS)