【国際情勢分析】
ロシアによるウクライナ南部クリミア自治共和国の併合を受け、米欧が制裁による“ロシア包囲網”を狭めつつある。米国が、ウラジーミル・プーチン露大統領(61)の「側近中の側近」とみられる政財界エリートや、関係する金融機関を標的にした影響もじわりと現れてきた。ロシアは自国経済の対外依存を減らす“鎖国化”の兆候を見せるほか、中国やインドなどアジア諸国との連携で国際的孤立を回避する思惑だ。
欧米の制裁に対抗
先進7カ国(G7)は3月24日、オランダ・ハーグで核安全保障サミットに合わせて緊急首脳会議を開き、ロシアのクリミア併合を「違法」と非難した上で追加制裁の可能性を警告した。
米国はすでに、プーチン政権や財界の要人など計31人の在米資産を凍結し、米国への渡航を禁止する措置をとっている。ロシア高官らの資金管理を行っていた民間の「ロシア銀行」(国内17位)も制裁対象とされた。欧州連合(EU)による資産凍結や渡航禁止の制裁対象も33人にのぼる。