中でも、米国が(3月)20日に発動した制裁が、プーチン氏の旧友とされる政財界の要人を対象とし、プーチン体制下の「縁故資本主義」を狙い撃ちにした効果が注視される。
ロシア9位の富豪、ゲンナジー・ティムチェンコ氏(61)はプーチン氏がサンクトペテルブルク副市長だった1990年代からの親友。ティムチェンコ氏が制裁発動の直前に売り抜けた石油取引会社、グンボルとプーチン氏の間に資金関係があるとの噂はかねてあった。プーチン氏とともに96年、サンクトペテルブルク郊外の湖畔別荘地に共同出資し、後に大出世した仲間の一部も制裁リストに入った。
(3月)21日には、ロシア銀行など複数行の顧客が、米クレジットカード大手、ビザとマスターカードによる決済を利用できなくなった。ロシア銀行は米国の制裁リストに載っており、他の数行もロシア銀行の子会社だったり、制裁対象の財界人が保有したりしている。プーチン氏側近に対する制裁がエリート層の離反につながる可能性があるのはもちろん、一般国民への影響もじわじわと見え始めた形だ。