【アメリカを読む】
「ロシアが一段と違法行為に踏み込めば、国際社会は結束して対応するだろう」
オバマ政権きっての切れ者だが、感情の起伏が顔に出やすい人という印象が強いジャック・ルー米財務長官(58)は、明らかにいらだっているように私には見えた。ワシントンで今月(4月)10、11日に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議。閉幕後に米国単独の記者会見を行ったルー氏は報道陣にそう強調したが、思うような成果が得られなかった焦燥感の裏返しではなかったか。
対決色薄まったG20
ロシアによるウクライナ南部クリミア自治共和国の併合後、初めてロシアも交えた本格的な国際会議として注目されたG20。それまでロシアに対して最も強硬な姿勢をとってきた米国だったが、蓋を開けてみれば、ロシアに対する正面切った国際社会の非難は影を潜め、国際通貨基金(IMF)を軸にしたウクライナ支援での協調を前面に押し出す結果になった。