各兵器の分析・評価も、米議会を刺激するに十分だった。
《将来型潜水艦・水上艦搭載の対地巡航ミサイルは、グアムなどの米軍基地に向けた攻撃力を増強。潜水艦発射型弾道ミサイルはハワイ/アラスカ/米本土西部を攻撃範囲に収める》
だのに、米オバマ政権の反応は相変わらずピリッとしない。オバマ政権を横目に、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国も腰を引く。マレーシアのヒシャムディン・フセイン国防相(52)に至っては「大国=中国に接する場合、自国能力に現実的でなければならない」と公言してはばからぬ。ASEAN諸国は輸入や開発援助など、中国が時々にぶら下げるアメと脅威烈度を秤にかけ、猫の目の如く態度を変える。
「勝利による敗北」の構図
実際5月11日、ASEAN首脳会議は、名指しは避けたが中国に「深刻な懸念」を表明(議長声明)した。声明は、あろうことか会議直前、中国がパラセル諸島付近のベトナムEEZ内に石油掘削リグを設置、中国海軍・海上警備当局の艦船80隻と越海洋警察・漁業取締当局の艦艇30隻が衝突した事態など、南シナ海で狼藉を止めない中国への強い牽制だった。