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山の中で「泣ける自分」発見できたのでしょう 「八月の六日間」著者 北村薫さん (3/4ページ)

2014.6.3 14:10

実は登山経験はほとんどないという北村薫さん。「登らないからこそ想像が広がるのかも」とほほえむ=2014年5月9日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)

実は登山経験はほとんどないという北村薫さん。「登らないからこそ想像が広がるのかも」とほほえむ=2014年5月9日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)【拡大】

  • 作家、北村薫さん。「欠けた部品」というフレーズが印象的な本作。山の中での景色や出会いが、誰しもが抱える「欠落」を埋めていく=2014年5月9日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)
  • 「八月の六日間」(北村薫著/角川書店、1620円、提供写真)

 40代ならではかも

 心をほどいてくれるのは、山の景色だけではない。そこで出会う人もまた、救いだ。「山でなら、いきなり会った人からも、素直にキャラメルをもらうことができる。普段の通勤電車の中では、そんなことはできないでしょう?」

 特に派手な事件が起きるわけではない。仕事をして、山に登る。歩きながら、過去のつれづれを思い起こす。読者は「わたし」と歩を同じくし、追憶の流れに身をゆだねる。「20代のようにがむしゃらでもなく…40代という年代ならではかもしれませんね。しみじみと振り返るだけの過去の蓄積がある」

 ズレたところに価値観

 本作もそうだが、女性を主人公にすることが多い。「女性の方が書きやすいですね。どうしても男性を主人公にすると、同じ40代でも社内の抗争だったり、上昇志向や出世の話になってしまう。自分の価値観はそういうところよりも、日常の中で一歩ズレたところにある。山もそう。日常の中でちょっとズレた時間ですよね」

 恋人との別れ、親友の死。いくつもの喪失を抱えた自分の心をさぐるように、歩を進める「わたし」。「誰しも、いろんな欠落を抱えたまま生きている。それをいかに、処理し、解決するか。自分や他人に対して、『生きていていいんだ』という許しを得るか。そこにたどり着くまでの物語です」

作家 北村薫略歴

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