このことは尖閣諸島の防衛にも大きな不安の影を落としている。中国が無数の艦船で尖閣諸島を取り囲んだ場合、海上保安庁や海上自衛隊の艦船はそれを排除することができず、中国による上陸や施設設置の強行を阻止できない事態に直面する恐れがあるということだ。
管轄権の既成事実化狙う
尖閣諸島周辺では、すでにわが国の漁船が中国艦船に追いかけられるという問題が起きており、海上保安庁の巡視船が領海内で操業するわが国の漁船に退避を求めることもあった。中国艦船によって拿捕(だほ)や臨検がされたら、尖閣諸島周辺における中国の管轄権行使が既成事実化されてしまう。
昨年(2013年)4月23日には中国の海洋監視船8隻が領海に侵入して日本漁船を追跡する事態も起きている。この時は海上保安庁の巡視船が割って入るような形で、わが国の漁船を逃した。ただ、中国国家海洋局はウェブサイトで、「日本の権利侵害船の追い払いに成功した」との声明を発表しており、国際社会に対して尖閣諸島周辺で管轄権を行使しているとの世論工作を展開している。