人気が出てきて知名度が広がり、バンドメンバーとともに九州から上京してきたのに、昨年(2013年)暮れに突然、バンド名義の“黒木渚”からソロ名義の“黒木渚”へと変えた。そして満を持して発表したのが、デビューアルバム「標本箱」だ。
遅かった音楽スタート
「今は、“自分の世界を自分で創っていく”という感覚がすごくあります。バンドで演奏するより、1人対ミュージシャンの方が、自分でイニシアチブを取れている感じがして音を構築しやすいから」
ソロでやっていくことへの決意は、ツアーをしながらライブ会場でファンに「2年以内に武道館に行くからね」と公言していたものの、“バンドのままでは絶対に間に合わない”と思ったのがきっかけだった。
とにかく焦りはある。音楽に魅せられたのが遅かったからだ。中学高校時代は厳しい勉学生活を寮で送り、大学へ進学。サークルを選ぶ際に、幼少時に祖母から日本舞踊を習っていた影響からステージに憧れがあり、演劇部か軽音楽部か迷い、後者を選んだ。この時に初めてギターを手にし、曲を作り始めた。