写真家、鋤田正義さんと初のフォトセッションを終え、本業であるミュージシャンとしての活動に精を出していたある日、鋤田さんから連絡があった。
「ライブを撮りに行ってもいいですか?」
突然のことで驚いたが、瞬時にそれは喜びへと変わった。私にとってこの申し出は「あなたの本当の姿を撮りに行ってもいいですか?」というふうに解釈されたからだ。
私たちの出会いとなったフォトセッションはスタジオ撮影だったため、モデル経験の浅い私には新境地であり挑戦でもあった。そこにはステージも照明も観客もない。私が普段身を置いている表現の分野とはかけ離れた場所だ。撮影後に送られてきた写真には、どれも自分の知らない自分の顔が映っていた。だからこそ面白いと感じたし、もちろん難しさもある。被写体としての経験によって、新しい自分を発見したのだった。