オバマ氏はこうした制裁をてこにして、プーチン氏に「クリミアをウクライナの一部としたうえで、自治権を拡大させる」といった案をのませることを想定しているもようだ。
プーチン氏は妥協のそぶりをみせていないが、冷戦時代とは異なり、ロシアと世界経済のつながりが深まるなか、今後の展望があるわけでもない。ロシアはクリミアを得たものの、ウクライナの親露政権を失い、先進国との経済関係も失いかねないのが現状で、制裁によるロシア経済の落ち込みはプーチン氏の政権基盤を危うくする。
オバマ氏がプーチン氏から妥協を引き出せれば、大きな成果を上げることになる。しかし対立を深める結果に終われば、消極外交がクリミア併合を抑止できなかった結果だとの批判は免れず、オバマ外交は正念場を迎えている。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)