オバマ氏の言葉に耳を貸さないのはロシアだけではない。中国の習近平国家主席(60)は3月24日のオバマ氏との会談で、ロシアへの経済制裁への協力に応じず、北朝鮮は中距離弾道ミサイル発射などの挑発を連発し、シリア内戦ではすでに14万人以上が犠牲となっている。
さらに北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコでも3月に入り、エルドアン政権が「ツイッター」や「ユーチューブ」の接続を遮断して言論を弾圧。エジプトでは暫定政権のもとでムハンマド・モルシ前大統領(62)の支持者529人に死刑判決が下った。オバマ氏が地域安定の要と位置付ける国々でも、平和と協調とは真逆の動きが進んでいるかたちだ。
軍事介入の余力なし
こうした混乱の背景には、オバマ氏の軍事介入への明確な消極姿勢があるとの指摘がある。オバマ氏は3月25日も「米国自身の自衛が関わらない場合は、軍事的な行動はとらない」と発言。共和党の重鎮ジョン・マケイン上院議員(77)らは消極外交が「米国を弱くみせた」ことが国際情勢を混乱させたと批判する。