これに対し、先頭集団にいたものの自らのデータに固執し、遅れたのが関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県)。新規制基準が施行される前に事前確認を済ませ、稼働していた実績が強みだったが、規制委が再三要求していた周辺活断層の三連動の可能性を拒否し続けた。長期間の工事を避けるため、関電が基準地震動の引き上げを阻止しようと躍起になったのが審査を長引かせた要因だ。
そのほかの原発では、伊方が地下構造の把握に時間がかかり、基準地震動が示されていない。関電高浜原発3、4号機(福井県)も、大飯のデータ解析に手を取られ、基準地震動の策定が遅れている。
審査が先行している原発は加圧水型軽水炉(PWR)のみで、事故時に格納容器の圧力を下げる「フィルター付きベント(排気)設備」の即時設置義務がないことが大きい。
審査が序盤の中国電力島根原発2号機(島根県)など4原発は沸騰水型軽水炉(BWR)で、ベント設備の義務化が今後の審査の焦点となる。(SANKEI EXPRESS)